皮膚の乾燥について

私たちは歳を重ねていくと、さまざまな体の組織が低下していきます。

皮膚についても同じです。

正常な皮膚・・・皮膚の一番外側にある角質層は、水をたっぷりに含み、肌にうるおいを保って、外からの刺激からからだを守っています。

角質の皮脂(セラミド)などの細胞間脂質を天然保湿成分(NMF)がうるおいを保つ働きをしています。

高齢者の皮膚の水分量は、若い人よりも30%低下すると言われています。

皮膚の保水機能にかかわるセラミドという物質の生成が低下するのも一因です。

皮脂は皮膚表面を覆って、水分の蒸散を防ぐ保護クリームのようば役割を果たしていますが、皮脂の分泌も減るため、乾燥が進みます。

さらに、秋から冬にかけては空気が乾燥するため、高齢者の皮膚も乾燥がひどくなります。

室内の空調にも左右されます。エアコンなどの暖房器具でも室内が乾燥します。

高齢者の皮膚の為には、湿度60%くらいが望ましいと言われ、コタツに入りっぱなしや長時間の電気毛布の使用も皮膚の乾燥を促してしまいます。

皮膚を清潔に保つため、入浴は欠かせません。しかし入浴が皮膚の乾燥を悪化させることもあります。

石鹸をたくさん使う・タオルで体を強くこすると、皮脂を過剰に取り除いてしまいます。

皮脂が取り去られた皮膚は、水分がどんどん蒸散してしまいます。

熱すぎる湯船も角質層を痛め、乾燥した皮膚の表面がポロポロとめくれてしまう原因になります。皮膚にとっての望ましい湯温は39℃くらいです。

これらの皮膚の乾燥はかゆみを生じやすくなります。

皮膚の表面がひび割れたり、粉をふいたような乾燥をした皮膚は、かゆみを生じやすく、掻くことによって炎症を起こしたり、湿疹ができやすくなります。つまり、ついつい掻いてしまうことがかゆみをさらに悪化させ、湿疹を再発させてしまう等の悪循環を引き起こします。

かゆみの悪影響を断ち切るには、皮膚にうるおいを与えて乾燥を防ぐことが大切です。

具体的な対策としては、まずは入浴が大切です。熱すぎないお湯で湯船にゆっくりつかりましょう。その際入浴剤も効果的です。しかしゴシゴシとこすり過ぎることや刺激の強いナイロンタオルは禁物です。石鹸は低刺激のものを用い、手で撫でるように洗いましょう。また入浴すぐの保湿剤はスキンケアとして大切です。たっぷり塗ることを心がけましょう。

風呂上がりの10分以内が理想的ですね。

入浴で蓄えられた水分は10分ほどで蒸発してしまいます。保湿剤はすぐに使えるように用意しておきましょう。

また、室内の乾燥予防も大切なポイントです。特に湿度が下がる秋から冬の季節は、加湿器等で乾燥を防ぎ、エアコンやストーブをつけることによる乾燥のし過ぎにも気を付けましょう。

これらの対策で日常の皮膚乾燥の原因を予防し、滑らかなしっとりした肌を手に入れましょう。

また、かゆみが強く、湿疹にまで至った際には専門科の適切な診療を受けることが大切です。

こすも 医師 黒田留未

 

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